わが国では健康増進のために1日8,000歩以上歩くことが推奨されているが、1日平均歩数が同じ場合、週末にまとめて歩く人と日々歩く人で効果は同等なのだろうか。今回、愛媛大学の山本 直史氏らは、中高年の日本人において連続した7日間の歩数を調査し、メタボリックシンドロームとの関連を検討した結果、8,000歩以上の日数の割合より、7日間の総歩数がメタボリックシンドロームとの関連が強い一方、1日平均歩数が8,000~10,000歩の人では、8,000歩以上達成した日数の割合が高いほどメタボリックシンドロームのリスクが低いことが示唆された。Obesity Research & Clinical Practice誌オンライン版2025年11月2日号に掲載。
本研究は、愛媛県東温市で進行中の前向きコホート研究である東温スタディの一環として実施された横断的解析(1,723例)と5年間の前向き解析(977例)である。まず、ベースライン時に連続7日間の歩数を歩数計で測定し、1日平均歩数について6,000歩未満、6,000~7,999歩、8,000~10,000歩、10,000歩超に分類した。さらに各カテゴリーを8,000歩/日以上だった日数の割合によって高頻度群と低頻度群に分けた。潜在的交絡因子を調整したロジスティック回帰分析により、メタボリックシンドロームの有病率および5年発症率との関連を評価した。
主な結果は以下のとおり。
・横断的および5年間の縦断的解析のいずれも、1日平均歩数が多い(すなわち7日間の総歩数が多い)カテゴリーほどメタボリックシンドローム発症のオッズが低いという一貫した関連が認められた(傾向のp<0.05)。
・8,000歩以上の日の頻度が高いこともメタボリックシンドロームリスクが低いことと関連していたが、1日平均歩数で調整後に減弱した。
・横断的・縦断的解析のいずれも、8,000~10,000歩/日のカテゴリーにおいて、高頻度群は低頻度群より一貫してメタボリックシンドローム発症のオッズが低かった。
著者らは「これらの結果は、総歩数の重要性を示すとともに、8,000~10,000歩/日という特定の範囲において活動頻度がさらなる役割を果たす可能性を示唆する」と考察している。
(ケアネット 金沢 浩子)